七夕の短冊、初詣の願い事、希代の流れ星ーー… 願うのは、ずっと変わらず同じ事。 「高校生、か…」 鏡に映っている、指定の制服を身に纏う自分の姿。 今日から高校生だと言うのに、何だか全く実感が湧かない。 ずっと憧れていた高校生…… 今日から、高校生活が始まるんだ。 この日をどれだけ待ちわびただろう。もう、これからの“一年間”が楽しみで仕方ない。 「行ってきます」 指定の鞄を手に持ち、家を出る。私の言葉に、返って来る声はなかった。