「お母さん…おかあ、さん…」 違う。おでかけなんて、そんなものではないんだろう。 連絡がつかないだなんて、遠くに行ってしまったに決まっている。 そうだ、私はなにを、目を逸らしていたんだろう。 お父さんは、出て行ってしまったんだ。 和君のお母さんと。 私と、お母さんを捨てて。 身体に力が入らなくなって、私はその場に崩れ落ちた。 「ふっ、ぅっ」 どう、しよう… どうしよう、どうしよう、どうしようっ… 「雪」 私の肩に、置かれた手。 私の名を呼ぶ和君の声も、震えていた。