お母さんはみるみる表情を変えて、眉の端を釣り上げた。
これは間違いなく、怒っている時の表情。
「…ッ!?それ、どうして?いつ?」
「さっき…二人で…荷物まとめて出て行った…」
「あの女ッ…つッ、」
なに?なに…?
いったい、なにが起こっているの?
「和哉君、場所はわかる!?」
「わ、かんな…」
「…ッ!お母さんが二人を連れ戻してきてあげるからね!!二人は家で大人しく待ってるのよ!!」
わからない、わからない。
スーパーの袋を投げるように置いて、先ほど来た道を走っていくお母さん。
私はいったいなにが起こっているのかも、この現状が把握できなくて、一人立ち尽くしていた。