駆け落ち、っていうのは、そんなに大変なことなの?


お父さんと和君ママは、どこに行ったんだろうか?


背後から、カツンカツンと、ヒールがならす足音が聞こえた。



「雪のお母さん!!」



振り返れば、そこにはスーパーの袋を持ったお母さんの姿が。



「あらぁ、和哉君、どうしたの?」


「お母さん、と…雪のお父さん、が…」



和君は、そこまで言って言葉を止める。

お母さんは、何かを勘付いたように笑顔を消して目を見開いた。




「…何?どうしたの?」



低い、お母さんの声が廊下に響く。



「駆け落ち、しちゃった…」



今にも消えそうな、和君の声。