「ちゅー?」
お父さんと…和君のお母さんが?
どうして?
二人はドアが開いたことにも気づいていなかったようで、私は気づかれないよう扉を閉める。
今の…なんだったんだろう?
…あ、それより、早くピアノルームに行こう…!
バレないように家を出て、目的の部屋へ向かった。
「あ…雪」
「和君!」
やった…!ピアノルームには、ジュースを片手に漫画を読んでいる和君が。和君がいたことに、自然と笑みがこぼれる。
「雪、ピアノ弾いてよ」
「うん!」
私はそう返事をして、プロコフィエフの前奏曲、和君が褒めてくれた曲を奏でる。