ある日、あれはお母さんがピアノのコンクールで出張に行っていた時だった。
もう日が暮れた、夜に染まった時間。
私は和君に会いたくなって、家をこっそり抜け出しいつものようにピアノルームに向かおうと思っていた。
ゆっくりと部屋の扉を開けて、玄関に向かおうとしていた時。
「…あれ?お母さん?」
お父さんの部屋から、女の人の声がきこえた。
お母さん、帰ってきてたの?
おかえりなさいを言おうと思って、ゆっくりもお父さんの部屋の扉を開けた。
中には、お父さんと……なぜか、和君のお母さんがいたのだ。
そして二人は、唇を重ねあっていた。