和君は、もともと両親を良く思っていない。だから、お父さんのことについてとやかく聞かれるのは嫌がると思う。
広いリビングの隅にあるベッド。離れた所に、キッチンやテーブルがあり、ドアが幾つか設置されている。
…3LDKくらいかな…一人で住むには広すぎるだろうお家。けれど、人の気配はない。
大人しく、休ませてもらおう…そして、早く帰ろう。
身体が冷たくて、布団をギュッと握る。
そのまま目を瞑ろうとした時、和君がリビングに戻ってきたのか、ドアが開く音が部屋に響いた。
「熱、計って」
体温計を差し出され、慌てて受け取る。
び、っくりした…これを、取りに行ってたのかな…?
黙って頷き、言われた通りに熱を計る。音がなるのを待つ間、和君は台所へ行ってしまった。
ピピピピ、という機械音がなったので、体温計を取り温度を確認する。
…う、うそ…39℃…!
風邪なんて久しくひいてなかったので、予想以上の高熱に何度も確認。けれど、やっぱり表示された温度は変わらなくて…

