【完】お前だけは無理。














とぼとぼ、覚束ない足取りで歩く。


外は既に暗くなり始めていて、ふと、空を見上げた。



ぽつり、と、冷たいものが頰に落ちる。



…雨?



突然降り出した雨は、一気に勢いを増し、私の体を濡らした。


折り畳み傘…持ってるんだけどなぁ…。


今は、雨に濡れたい気分。


何を、と聞かれたら具体的には答えられないけれど、全てを洗い流したい気分だった。


ふと、正門付近を見ると、女の子二人組が傘を差しながら帰る姿が見えた。


羨ましい。


その感情が、浮かんだ。


私じゃない二人が、羨ましくて仕方がない。


和君に、好きになってもらえる権利を持った人が、たまらなく、どうしようもないほど羨ましくて仕方なかった。


『お前だけは…無理』


私は…私以外になりたい。