【完】お前だけは無理。


その腕は、私を優しく包み込み、その反面、掻き抱くように抱擁した。



ーーーーえっ?



「和、君…?」



私は今、和君に抱きしめられている。


信じられない現実に、頭の中は色を無くす。



「雪ッ…俺は…」



何?どうしたの、和君…?


私は静かに目を瞑って、耳を澄ませた。



1分くらい、経っただろうか。


その時間は、私にとっては夢のようだった。




「………もうやめろ、俺のことは諦めて」




夢から覚める一言に、視界が滲む。


和君はそっと私を離し、顔を背けた。



「いい加減わかって。お前は無理」



呆然と立ち尽くし、涙で歪んで前が見えない。