「はい。…言い忘れてましたけど、先生…」
振り返る和君を、ただただ見つめる私。
「生徒に個人的な感情を持ったり、行動をしてはいけませんよ?車で送るだなんて御尤もです。教師なら、そのくらいわかりますよね?」
唇の動き一つすら綺麗で、見逃したくなくて、ぼーっとしてしまう。
…?あれ?何を、話してるの…?
「…ッ、私はただっ「それじゃ、さようなら」
再び歩みを始めた和君と同時に、私もついていった。
少し歩いて、靴箱の所までくると、和君が手を離した。
私は夢から覚めたみたいな気分になって、離された手を見つめる。
下足に履き替えて和君の元に駆け寄っても、また手を握られることはなかった。
…急に襲いかかる、寂しさ。

