【完】お前だけは無理。


和君と、一緒に。



「白川さん凄いわね…!すっごくやり易いわ!」



試しに一度通した後、指揮者の先輩が満面の笑みでそう言ってくれた。


えへへ…よかった…。



「俺たちも、凄く波を作ってくれてるから感情を乗せやすいよ」


「あ、ありがとうございますっ…!」



口々に褒められ、恥ずかしくなって照れ笑い。


休憩の時間に入ると、指揮者の先輩が私のもとに駆け寄ってきた。



「ピアノはやってたの?」



そう聞かれ、笑顔で頷く。



「あ、習いに行っていたわけではないんですけど、母がピアノの先生をしていて」


「へぇー、そうなんだ。白川さんのお母さん、きっと美人なんだろうね」



はい、と言って、もう一度頷く。


先輩の言うとおり。


お母さんは凄く美人な人だった。


優しくて、慈愛に溢れていて…とても自慢なお母さんだった。


もう、亡くなってしまったけれど。