結局、その日は浩太君はこないまま、1日の授業は終わった。



「起立」



担任の先生の掛け声に、みんなバラバラに立ち上がる。



「礼」



その声に、従う者は半数もいなかった。


ぞろぞろ帰っていく生徒達。


私はその中には入らず、楓ちゃんと瞳ちゃんに手を振り先生の元へ駆け寄る。



「先生っ…」



「おお、白川。本当に手伝ってくれるのか!ありがとう!」



ピアノを手伝うという約束をしていたので、先生の元へ来たのだけれど…?

本当って、私が冗談で言ったとでも思ったんだろうか?




「いやぁ…先生も教師生活は長い方なんだがな、白川みたいに協力的な生徒は初めてだ」



合唱部の部室に向かう最中。