「…っ、何もないわよ。それより、昨日は涼介先に帰っちゃってたの」



「えっ…そうなんだ…それで元気ないんだね」



それは残念…。

俯く私に、瞳ちゃんは「そ、そうなのよ…」と笑う。



「まあ落ち込むなって!今日はさ、放課後パーッと遊びにいこーぜ!!」



「あっ…ごめんなさい、今日から一週間は合唱部のお手伝いすることになってて…」



「そういえばピアノするって言ってたわね」




私の台詞に、楓ちゃんはガッカリしたように肩を落とした。



ちょうど予鈴のチャイムが鳴って、既に殆どの生徒が席に着いている。


そんな中、前にいた女の子3人組みの会話が耳に入った。



「ねぇー、浩太君来てなくない?」


「だよね〜昨日も途中からいなかったし?」


「せっかく一緒のクラスになれたのにねー」



そういえば…。

隣の席に、目を向ける。