呆然と立ち尽くし、キーボードを叩く和哉君の姿をただ見つめる。
先程から必死にパソコンで何の資料を作っているのか、最後の最後にそれだけ気になって画面を覗いた。
私の目に映った、その画面には…
『早見浩太 処分検討書』と、 いう文字。
真人君も、涼介も帰ってるのに、なんの仕事が残ってるの?って思ってたら…。
…っ…。
必死に画面と向き合い、真剣に文章を並べ、打っては消し打っては消しを繰り返している和哉君。
私はその姿が切なくて見ていられなくて、静かに生徒会室を後にした。
ねぇ、その仕事は…いくら生徒会長でもあんたがすることじゃないでしょ…?
普通に、雪と浩太とかいう奴と、先生を含めて話し合えばいいはずなのに、なんであんたが必死に、そんなもん作ってんのよっ…。
……雪、ごめんね。
私、何も出来ない。
何か力になれたらよかったんだけどっ…私には、雪に何かを伝える権利はないみたい。
だって、私は知らない。
誰かを想って、あんなに苦しい顔をする人を、悲痛な声を出す人を。
まるで、どこかの物語の登場人物みたいに、
貴方たちは、許されない恋をした二人なの…?