和哉君の気持ちが、ほんの少しだけ、本の…少しだけ身体の中に流れ込んできて、


けれどそのほんの少しは、耐えられないくらい胸が痛くて…


だったら、和哉君は？


貴方は一体、どれだけ苦しいの？




「…はっ」



和哉君の掠れた笑いが、静寂を物語る。



「わかるわけねーだろ？俺の気持ちなんて。誰にもわからない。わかってくれなくていい」



そう言った彼の表情にまたしても、私の瞳から溢れた雫が一滴、床にシミを作る。




「わかって…たまるか…」




この時の和哉君の声を、私は一生、忘れない。

忘れられない。



「あいつと俺のことに、お前は関係ない。誰も俺たちの間に入ることは許さない。何も知らないくせに、入ってくるな」



最後にそれだけ言われ、私はもうこれ以上何も言えなかった。