「ご、ごめん和哉君っ…」



思わずそう言った私の顔を見て、ハッと我に帰ったような反応をする和哉君。


私の肩から手を離し、元座っていた席へと戻って行った。

そしてまた、キーボードを叩き仕事を再開する。

だから…一体、そこまで急いでなんの資料を作ってるの?



「お前があいつに言ったら…その時はまた、俺はあいつの前から姿を消す」



冷静を取り戻したのか、淡々とした声でそう言った和哉君。


何言ってんの、この人。



「こんな時期に転校しますって…?何言ってんの」



あんた受験生でしょ?

内申点もギッチギチに取って、常に主席をキープして、生徒会長までやってるくせに…バカ?



「本気だ」



そう言った瞳には、嘘や冗談は微塵も感じられなかった。



「あいつが大切なんだろ?だったら言うな。俺が側にいると、あいつは不幸になるんだよ」



雪の幸せの為なら、自分の人生も棒に振るっていうの?