【完】お前だけは無理。



雪、あんたは和哉君に嫌われてるって言ったよね…?


でも、それ違うよ。

全く違う。


むしろ、真逆だよ。



「和哉君さ…"和"って呼ばれるのだけは、嫌がるよね。いつも人相良さそうな顔でヘラヘラしてるのに」



昔から、特に何をされても怒らない和哉君が唯一譲らなかったこと。


自分の名前を、和とか和君って呼ばれるのを嫌がる。


私や楓は勿論、龍斗君や涼介にまで…。



それが今まで、不思議でたまらなかった。

今日、わかったけれど。



「その理由って…雪でしょ?雪にしか呼ばれたくないんでしょ?」


「…何言ってんの?…考えすぎ」



和哉君、あんたこそ動揺し過ぎだよ。


本当に、私が今話してるのはあの和哉君なんだろうかと疑うくらい。


今の和哉君には冷静さの欠片も見当たらなかった。