狐と嫁と溺愛と

18



早朝の庭に、あたしと大河さんと春乃。



見送りにお父さんと志鬼くんと高島さん。



「それじゃ、行ってくる」

「死ぬなんてことにならないでくださいよ?」

「俺が死ぬわけねぇだろ、ジロー。高島、屋敷と志鬼の世話は任せたぞ」



深く頭を下げた高島さん。



お父さんは緩い笑顔で手を振っていた。



「どうやって行くの?」

「この鳥居をくぐるだけ。大河さんがあっちとの道を開くから、あたし達は歩けばいいんだよ」

「へぇ〜。凄いな、大河さん」



春乃と喋りながら鳥居を潜った。



目の前に現れた和風の屋敷に、言葉をなくす春乃。



大河さんは妖の姿になり、春乃の頭にも猫耳が出た。



「なんで⁉︎」

「こっちではこの姿が当たり前。そういう世界だ」

「うわぁ、なんか…大河さんが凄く怖い人に見える…」

「それは春乃ちゃんが俺との妖力の差を感じ取った証拠。過ごしやすいだろ、ここの空気は」

「うんっ‼︎」



春乃が嬉しそうだ…。