大河さんに会ってから、志鬼くんが変わったんだって。



妖として生きていくことに迷いを感じていた志鬼くんが、ちゃんと自分と向き合うようになったって。



「俺も親として情けねぇんだけど、俺には当主としての役割とか、教えてやれねぇんだ」

「現当主の椿がいるだろ…」

「椿は一応女だから」

「それは初耳だな」

「それ、椿に言ったら殺されるぞ…」

「俺に預かれと？」

「頼む。高校は転校させてもいいし、卒業してからでもいい」



それに対し、志鬼くんは今すぐ転校したいと。



あたしの学校はダメだよ？



龍之介くんがいるから。



「立派な当主にしてぇのよ」

「何も変わらないかもしれないぞ…」

「それでも、お前を慕ってるんだ。とりあえず、下僕にでもしてやってくれ」

「ははっ、わかった」



下僕と言われたのに、志鬼くんの目はキラキラ。



本当に嬉しそうだなぁ…。



やっぱり、妖の気持ちはよくわからない。