聞いてたら一緒に行ったのに・・・。
ていうか、なんで言ってくれなかったのよ。


横で俯くメルダを見て、カインはメルダが思っている事をなんとなく悟った。

「悪いな。俺だけこいって話だったからさ」
「そう・・・なの」
「会いたかったか?」

「・・・・別に」

言葉とは裏腹に、メルダはとても残念そうにしている。
カインはそんなメルダを横目で見ながら、まだ自分には気持ちがない事を自覚する。


まだまだ勇者にはかなわねえな。
もっと努力しないと。
いつかメルダの心の中が俺でいっぱいになるように。


「・・・俺、もっとがんばるからさ」
「ん?」

突然何を?とメルダは顔を上げてカインを見る。
カインはメルダをじっと見つめていた。
その瞳がとても情熱的に見えて、メルダはどきっとする。

「な・・・何?」
「・・・・いや、なんでもない」

そう言うと、暖炉を向いて火をつけた。


暖炉の中の火が赤く燃える。
カインの心の中もまた、暖炉の火の様に赤く燃えていた。