重い足取りで部屋を出る。宿屋の入り口は今日の宿泊の為に沢山の人で賑わっていた。

「メルダ、お前も手伝ってくれないか?俺一人ではさばききれん!」


受付に並ぶ人を対応しながら、メルダに助けを求めたのは父のクルドだ。

「わかったわ。はい、2番目にお待ちの方、こちらへどうぞ」

急いで受付に入り、客に声を掛ける。


メルダの目の前に立ったのは、とても背の高い戦士だった。
身に着けている鎧には、細かい傷がついていて割れている箇所もある。腕にも傷の跡が見える。
何ヶ月か切っていないのだろう、髪は伸び放題で顔にかかってよく見えない。

メルダはその戦士の光景があまりにも異様で、動く事が出来なくなってしまった。