カインは殴るまねをグレンにする。
笑いながらカインの拳を手で受け止め、そしてカインにこう言った。


「・・・嘘だよ。私はもう自由に動ける身ではないからさ。メルダのこと、頼むね」
「ああ・・・。言われなくても俺が守るさ」
「カインがメルダの勇者になれるように、祈ってるよ」
「おう、必ずなるよ。あいつに好いて貰える様に努力する」


そう言うと、二人はお互いの拳をくっつけた。
それは仲間として旅をし、戦いが終わる度にいつも行っていた二人の合図。


その触れた拳から、カインは勇者からの勇気と激励を貰ったような気がした。