やばい。
これはちゃんと言わないとやられるパターンだ。

カインは慌てて表情を真剣な顔に戻すと、きりっとグレンを見る。

「勇者、すまん。俺はメルダに一目惚れした。俺はメルダと結婚したい!」

そう言ってがばっと上半身をテーブルに打ち付けるように頭を下げた。

「・・・・そう」
「お前が旅の合間にメルダの話をしていたのが気になって、会ってみたくてあの宿屋にお前を見る名目で行ったんだ。受付にいたメルダを見て俺の心は高鳴った!もう信じられないくらいに。どうしても、メルダと一緒になりたくてそれで・・・」

少しの沈黙が流れる。
恐る恐るカインがグレンの方を見やると、先程の威圧は消えていた。
カインはほっとしながらゆっくりと頭を上げる。