「どうした?ぼおっとして。熱でもあるのか?」

カインの問いかけにはっと意識を取り戻す。

「あ、ごめん。ちょっと考え事」
「仕事中だぞ、ちゃんとしろよ」

・・・なんてこった。カインに注意されるとは。

メルダは気持ちを切り替える。


「メルダ、悪いがこの後一日暇を貰ってもいいか?」
「え?別に構わないけど」
「すまんな。ちょっと野暮用で」

カインからこういったお願いをされるのは初めてだった。
どういった用?と聞こうとも思ったメルダだったが、よく考えれば住み込みで働いてから、カインは殆ど休みなく働いていた。
用を自分から言わないということは、知られずに一人でリフレッシュしたいのだろうな、と思った。


「気兼ねなく、ゆっくりして。両親には私から伝えとくから」

そう言ってカインに笑顔を見せた後、メルダは受付の仕事を続けた。