カインは部屋の窓を開ける。開けたと同時に物凄い人々の歓声が部屋に響き渡る。

「パレード、始まったな。ほら、先頭の馬に乗った騎士隊が見えるだろう?」

人々の歓声と舞う紙吹雪。列を成して馬や騎士達が歩いてゆく。
その列の真ん中には一際目立つ白い馬。その馬に勇者グランが乗り人々に手を振っていた。

「来たな、勇者。ははっ、柄にもなくいい笑顔だな」
「グラン・・・」

5年ぶりに見るグランの姿は、長い間の旅や戦いで色々あったのだろう。
メルダには全くの別人のように見えた。

とても勇敢で威厳のある勇者。

小さい頃に一緒に遊んでいたグランは、そこにはもういなかった。

「ほら、そろそろ目の前を通るぞ。準備はいいか?」

カインが促す。

「ほ、本当に言わなきゃダメ?」
「言わないで後悔するよりはいいだろ。ほら」

と、背中をどんっと叩かれる。
叩かれた勢いで、メルダは叫ぶ。