母の呪いは消えず、子である深雪に受け継がれてしまった。なんて悲しいことだろうか。
「そ、それは、あたしのこの体でどうにかできないの? 治せないの?」
「雅」
「あたしの体、役に立たないの? 黄金血っていう体なんでしょ?」
消えるなんて、居なくなるなんて。どうして。
なにもかも分かったような顔をして、取り乱したりせずに静かに話す深雪がとても憎らしい。そんなあなたは嫌い。
「キス、してあげる」
「み……」
「黙って」
いつも、されるばかり。振り回されてばかり。
もうすぐ消滅する。呪いで蝕まれていて、消える。そんなことサラリと言わないで。こっちの気も知らないで。
あたしのこの体で治らないの? だめなの?
陶器みたいな頬に指を這わせると、指先がピリピリと震えた。深雪の膝の上に乗り、形の良い唇に噛み付いた。静かな部屋に、湿った音。力強い腕が、我慢の限界だとでも言うように、あたしの背中を引っ掻く。
乱暴に貪られ、ちゅっという音と共に一度離れた唇は、まだ物欲しそうにしている。
「あなたを蝕む呪いは、あたしの体では、治らないの?」
雪女の血を引いていて、肌が熱いなんておかしい。でも、冷たい肌の持ち主じゃなくて、良かった。
こうしていると、人間に抱かれているのと変わりないのに……。
「体の痛みは、楽になる……少しだけ」
それならば。この体を好きなだけ使えばいい。
乱暴にカットソーを脱ぎ捨てた。シャワーも浴びず、体を与えるようにして、乱暴に深雪を押し倒す。



