妖しく溺れ、愛を乞え

 俺を愛して欲しいと何度も言っていた。あたしに、愛を乞う深雪が、いつの間にかあたしの心に居た。
 ひとりにしないで。寂しさの中にあたしを置いて行かないで。

 深雪でなければいけないのに。今ごろ気付くなんて。

 愛を欲しがっていたのは、あたしの方だ……。

 たくさん、愛を貰った。あたしはまだ、なにもしていない。


「あたし、まだ深雪になにもしてあげられてないの」

「……」

 ブーツの入口に詰まった雪を掻きだした。冷たくて濡れていて、重い。

「体を与えているだけ。でもそれだけじゃ、彼は居なくなってしまうって、感じた」

 もっとあの人を、

「呪いで消滅する運命なら、それがいつなのかは分からないけれど……すぐなのかもうちょっと先なのか、分からないけれど、それまで一緒に居る」

 だんだんとゆっくり来た想いじゃなかった。深雪が居なくなって、そう思ったんだ。想いに気付いた。決意にも似た、想い。
 言い終わると、圭樹がクスリと笑う。

「死にそうな顔してるけど、大丈夫?」

「う、うん」

 あたし、そんな顔をしているのだろうか。深雪の前では笑顔で居ないと……。

「……ちゃんとそれ、あいつに伝えなくちゃな」

「うん」


 なんだろうね。なぜか、大丈夫だって思えるよ。 

 この運命に、負けたくない。