妖しく溺れ、愛を乞え

「あいつ、純粋な雪の妖怪じゃなかったから、里でつまはじきにされていたんだ。ここに戻りたくはなかったはずだが」

「……」

 生い立ちが複雑なのと、親が居ないのに誰も頼れなくて、きっと寂しかったと思う。圭樹という仲間が居てくれて、良かった。

「ねぇ……なんでもうちょっと近くに落ちなかったの?」

「やっぱり、そう思う?」

 圭樹が舌を出した。なにそれ、キャラが変わっているじゃないのよ。

「苦手なんだよ……あっちとこっち繋げるの」

 圭樹は恥ずかしそうに、頭を掻いた。

「そんなことあるの」

「深雪丸は力も強いから、ドンピシャで里に行けるんだけどな。いつもあいつ頼りだったから……」

 苦手なこともあるんだ。なんでもできそうなのにね。不思議。

「なんかあたし達、深雪が居ないとダメなヤツだね」

「失礼だな。俺はそんなこと無いぞ」

「ふうん」

 あたしだって、深雪が居ないとなにもできないわけじゃないけれど……でも、このまま会えなくなるなんて、考えられない。嫌だ。

 ため息をついても、雪は降り止まない。冷たさで、白く埋め尽くしていく。