妖しく溺れ、愛を乞え

「連れて行って。お願い」

 深雪の元へ行かない選択肢は、あたしに無い。

「確実に居るかは分からないけれどな」

「それでも、じっとしているよりはマシよ」

「……そうだな」

 どうなっているかは想像が付かない。これから先のことは分からない。
 深雪に確実に会えるかどうかも、本当に、雪の里に居るかどうかも分からない。でも、行かなくちゃ。深雪に会いに。


「会いたい……深雪に」

 泣いている場合じゃない。うずくまっていても、なにも始まらないの。涙がこぼれないように、目に力を入れた。泣くな。

「雅ちゃん、それ早くあいつに言ってあげなよ」

 分かったんだ、あたし。


 愛が生んだ呪いは、愛をもってしか解けないのなら。

 手遅れでも、解けなくても……それでも。あたしの愛は……きっと、無敵だ。