『マリア。落ち着いて。』

お母様が言うとマリアは、

『ごめんなしゃい』

と謝った。

この、謝り方が無性にかわいい。





『おねえちゃま?』

『うん。もう。マリア。かくれんぼダメだからね!サリアが困るでしょ?』

サリアとは、マリアの女官長。

『お嬢様。ご会場に。』

『いや、そなたらについていく。ね?マリア。』

『しょ、しょうよ。サリアちゃん。おねえたまも、行くのよ。』


『ふふふっ。左様でございますか。行きましょう。お嬢様。マリア様。』


サリアは、私にとってもお姉さんみたいな感じ。初めての生理の時も、お母様に言えず、サリアに相談したっけ。
サリアは、まるで、お姉さんみたいに聞いてくれたな。


『お嬢様。マリア様。どうぞ。』


マリアの召使いと私の召使いが衣替え部屋のドアを開けた。


『ねっねっ、サリア。私はどれ着るの?おねえたまとおそろいがいいな。』

『申し訳ございません。マリア様は、こちらの黄色いドレスと決まっておりまして。』

『別にいいわよ。これも可愛いもん。髪の毛はおねえたまみたいにアップしたいな』

『もちろんでございます。どうぞこちらへ。』

マリアの着替えが終わった。

『おとうしゃま!』

『おぅおぅ。マリア。リリア。急なパーティですマンな。』

『別にいいわよ。』

『ねぇねぇ、お父様。今日、霜野沢マリ来る?』

『霜野沢マリ?』
『霜野沢マリ?誰だ?』

『霜野沢財閥の娘。』

『あーーっ。霜野沢広木さんの娘か。で、どうした?』

『いえ。別に。クラスメイトだからさ。』

『そうか。クラスメイトか。霜野沢財閥は、うちの傘下にあるからな。けど、広木さんはいい人だよ。』

『ふぅん。』

『あとさ。お父様。私さ、子供じゃないから、もうお父様が私のこと紹介しないでー。ごめんなさい。けど、嫌だからさ。』

『べっ、別にいいけど。自己紹介お父さんがやってたっけ。そうそう。今日からここがリリアとマリアの席ね。』

『はい、お父様』