るりは記憶が途切れる前のことを思い出し、とっさにフルートを探し始める。
フルートは、るりが寝ていた場所から少し離れた所に落ちていた。

「・・・よかった!あった・・・!」

るりは急いでフルートを拾おうと、立ち上がった時だった。


「これは、渡しませんよ」

黒い影が、落ちているフルートを手にする。

その声はあの丘で聞いた、低く篭った声。
そこには黒いローブに身を包んだあの男が立っていた。