【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

そうすると、楠本燭の隠れていた端正な顔立ちは、眼鏡以外に隠すものが無くなって。


黒の映える、白い肌。黒縁眼鏡で隠れているが
、楠本燭は筋の通った外国人のような高い鼻と、レンズの奥には漆黒の瞳と、その瞳を印象付ける深い二重瞼を持っている。


ジャージを着ているからか、不断着痩せして隠れた、本当は弓や馬術で鍛えられた腕や背中や脚の形が今日は良くわかる。


ルイが線の細い美形で、嶋山成が愛嬌のある可愛らしい少年だと例えるなら、楠本燭は男を感じさせる青年とでも例えられるだろう。


さっきまでルイだけをチラチラ見ていた女子達の視線が、ぐっと楠本燭に集中する。


「嘘、楠本君って意外と……」


「やだ、私タイプかも!」


女子というのは実に気持ちがコロコロと変化するもので。今回も、楠本燭の見た目が本当は良いと分かった途端、掌を返すように黄色い声を上げ始める。


中心で騒いでいた里佳子も、楠本燭を見て顔を徐々に赤らめ始めていた。


「私、お手洗いに行ってきます」


この場が騒ぎになる前に、私は面倒事に巻き込まれることを回避する為に立ち上がる。


人気者の嶋山成に、クラスのトップの里佳子。美形の転校生ルイとただでさえ目立つラインナップの中なのに、楠本燭まで目立つなんて計算外。


面倒極まりないとしか、今の状況を表すことが出来ない。