【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

「うおーい問題児共ぉ、メシだぞメシー」


「うお!ミッキー!」


そろそろ自由時間の使い方が決まりそうな頃、ノックも無しにドアが開き、そこには灰色のパーカーに同じような色のスエットとリラックスモードの美樹が現れた。


本当にこれが正規採用の教師なのか疑ってしまうところがあるが、こんなんでも美樹は担当である理科総合の授業はかなり評判の良い教師。


人は全く見かけによらないの、正に具体例だと言える。


「美樹コノヤロースケベ!アタシと笑里が着替えてたらどうしたんだよ!」


「着替えて無いだろ。それに、どーせこういう小部屋は男女共同の溜まり場になるんだよ。悪知恵が思い付くタイプがいる奴等のな」


そう言うと覇気の無い目で、嶋山成を通り越して楠本燭をじとっと見つめた美樹。


「あれ、バレました?大部屋じゃなくてこっちなら先生の足もつきにくいって俺が嶋山に入れ知恵したの」


「バレバレ。そういう頭の良い悪い事サラッと言うのは燭の仕事だろう?この単細胞に思い付くとは思わないし」


美樹はやる気が無いようでやっぱり生徒をよく見ている。私も言い出しっぺが実は楠本燭だなんて気付かなかったし。