【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

ルイは、父が造り上げたヒューマノイドロボットだ。そんな事、最初から分かっている。


けれど、日に日に彼が感情を持った人間に見えてしまう。


だって、ルイを中心に確かに私が捨て失せた世界が変わっているのだから。


例えば、クラスでも誰とも話さなかった楠本燭が、最近ではルイや嶋山成と行動して他の男子達とも話すようになったり。


意地悪で、ヒエラルキーのトップの嫌な女代表だと思っていた里佳子は、実は真っ直ぐで一途で、周りに嫌な女に仕立てられている存在だということが見えてきたり。


興味本位で私に話しかけているように見えていた同じくヒエラルキーのトップの男の嶋山成は、崩れそうなヒエラルキーのピラミッドを支える人だということが分かったり。


ルイは、関わる人の良きところも悪きところも暴いて行く存在。


もし、私まで全てを暴かれたら、きっとこの優しい人達は離れて行くだろう。


それでいい筈なのに、汚い私は自然とその綺麗で居心地の悪い場所を求め始めている。


だから、私は私の罪をまた奥底から掘り起こし、頬へ、腕へ、脚へ、この身体全体に塗りたくる必要があるんだ。