【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

ようやく部屋に落ち着いたら、私とルイを除く三人を中心に自由時間の話し合いが進み始める。


「やっぱり映画村だろー!それから舞妓体験的なの!」


「アタシは和菓子造りだね。食いたいし」


「何かを作るならほら、これなんてどう?匂い袋作り体験とか」


ああでもない、こうでもないと意見を言い合う三人に、私は聞くのだけで精一杯。


「ねぇエミリ、ボクもその用事に付き合ってはダメ?」


「結構です。ルイも皆さんと京都を楽しんでいて下さい。私もすぐに合流しますから」


これはおそらくの仮説だが、ルイはこれから先ヒューマノイドロボットが当たり前にこの世界に出る為の試験的な存在なのだろう。


だったら、私の罪の眠る場所へ付き合うより、嶋山成達と自由時間を共にした方がよっぽど彼は多くを学ぶことが出来る。


わざわざ私と共にいることはない。私の仮説が正しいのなら、ルイはもう私の傍にいるより彼等と歩むべき存在。


「本当に?……ボクは、キミの傍にいる必要は無いのかな?」


その言葉には感情があるような気がした。全てが造り物のルイが、そんなものを持っている訳もないのに。