【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

「おーい!到着だよーん!開けてー!」


しかし、その追及はドアの向こうの間の抜けるような嶋山成の声に、遮られた。


「おー、早く入んな!」


里佳子の答えに部屋に入ってきた男子達に、救われた気がして安堵に近いものが込み上げる。


「ん?何か二人の空気感が微妙なんだけど、御堂ってばまた片岡に絡んでんの?」


「違うわ!笑里が……なんだ、明日は昔の男に会いに行くから最初は四人で回れとか言うからぁ……」


里佳子は決して空気が読めない人間ではない。さっきの話をここで公表するのが正しくないと判断したらしく、咄嗟にそんなことを言ってその場を凌ぐ。


「え、片岡マジで?昔の男!?」


「まぁ、片岡さん程の美人ならあるでしょ。嶋山ドンマイ」


何故かショックそうに顔をこわばらせる嶋山成と、それを楽しそうに宥める楠本燭。


その一方後ろで、ルイは全て見透かしたかのように作り物の瞳をじっと、私へ向けていた。