【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜




朝、目を覚ますとこの季節なのに寝間着に嫌な汗をじっとりかいていた。


目が覚めたら全て忘れてしまっていたけど、嫌な夢でも見ていたのだろうか。


最近、ルイと共にいると人と関わる機会がいやがおうでも増えてしまうから、きっと、捨て失せた世界にまた足を突っ込まざるを得ない状態だから、あの頃の記憶を思い出してしまっているのかもしれない。


もう、その世界には私は戻ってはいけない。けれど、死んでしまうことは犯した罪から逃げてしまう事になるから、いつも隣り合わせで行かなくてはならないのだ。


「おはよう。まだ体調が優れないの?あまり顔色が良くないみたいだけど」


そもそも寝るという概念があるのか分からないけれど、ルイは起きるのが早い。


料理の機能が彼の中にインストールされてからは、毎食ルイの食べ物を食べて生活している。


「キミが食べやすいよう、今日はフランスパンの薄切りとかぼちゃのスープにしてみたよ」


「あ、り、がとう」


高性能なヒューマノイドで、感情なんてありはしないのに、まるで本当に私を気遣っているよう。


日に日に、ルイはあちらの世界の人間に近づいている。