夜。それも深い時間の夜だと思う。
また、私は眠りが浅い故に夢を見ていた。
額と、眼前の私と同じ奥二重の大きな三白眼から、温もりを受け取っていた。
なのに、私はその温もりを突き放し、代わりにその主の細く長く、褐色の健康的な首へと手を伸ばす。
正面から喉元に触れるとふやふやと柔らかいのに、その実体はどちらかと言えば硬くて、力どころか体重を込めないと、やろうとしている事が成し遂げられないと、本能で嗅ぎとる事が出来る。
なんて嫌な感触。……これは、あの日私が犯した罪の、忘れてはいけない感触。
正に警告のような夢だ。幸せになってはいけないという警告の。
視界の隅で、古めかしいロボットが、悲しそうに私を眺めていた。あれは、前にも夢に見たことがある。
ロボットなのだから感情なんてある筈ないのに、その瞬間感情を捨て始めた私と違って、あれには確かに感情があるのだ。
それが堪らなく罪悪感を駆り立てて、けれども止まらない私は、目の前の褐色の首を、ただただ強く絞めあげる。そうする事しか、幼過ぎる私には成すすべが無いから。



