「勿論お互い想う気持ちはあったと思うけど、ハッキリしないまま、興味とか、好奇心とか、そんなんでしちゃって、その後気まずくなって、今まで通りにはいかなくなって……あーもー、馬鹿だなぁ、アタシ」


それを今でも後悔しているのは、御堂里佳子にまだ彼を想う気持ちがあるから。


「高校になったら疎遠になると思ってたのに、何でか、アイツ頭良いのにこの高校選んでるし。でもあんな事しといてアタシは平然と出来ないじゃん?そのアタシの態度のせいで、燭に友達が出来ない今の状況は嫌だ。本当に、辛い……」


想っているから、感情があるから、辛くなる。だったら全て捨てれば良いのにそれをしない。御堂里佳子は私と違って、芯から強い人間だから。


独り言だからと言われたけれど、私も、彼女へ対して思った事を言っても良いかもしれない。そんな事を、体の奥で感じ取る。


「嫌だと思ったら怒って頂ければ黙ります。どう言うのが正しいのかは分かりませんが、多分……楠本君の気持ちも変わらないから、わざわざまた同じ場所にいるのを選んだのでは?」


だって、そうじゃなきゃ、感情が無いのなら、昨日みたいな悲しそうな顔で、怒りのこもった言葉を投げたりは出来ないでしょう?