空が薄浅葱に淡く色付いている。冬から春へ季節が移行する色。


二月、私達の決断が纏まらないまま九日の時間が経ち、今日がまたなあなあに過ぎて行く。


あの日、京都で決断出来ぬまま夜を過ごし、翌日家路に着いた私達。


帰り着いた私と成を待っていた父は、申し訳無さそうに私達をリビングに呼んだ。


「どうだい?話は纏まったかな?」


「ごめんおじさん。……まだ、納得の出来る決断が出来そうにないんだ」


静かに答えた成に「そうだよね」と悲しそうに眉を下げた父は、一呼吸置いて、私達に静かなトーンで話し出す。


「時間はあるからって言ったんだけどね、その決断、あと十日で決めてもらわなければいけないんだ」


「何故、ですか?」


心底申し訳無さそうな父に、私は容赦なく問い掛けた。愛する人との大切な決断にリミットを設けられたのが腹立たしかった。それが私の勝手な怒りと分かっていながらも。


「おじさん、分かるように説明して?」


怒りに震え、爪が喰い込む程に掌を握り締める私の手に成がそっと手を重ね、父に冷静に尋ねる。


拳に感じる温もりは、ルイの温もりじゃない。成は温かい。けれど、私の代わりに泣いてくれる温もりではないと、悲しみと苛立ちが自分勝手に右往左往して私をいたぶって楽しむ。