「それはどういう意味ですか?」


父とルイとのやり取りを聞く前から里佳子は何かに気付いていた。球技大会の途中から、里佳子はそれを疑っていた。


あの時の里佳子に問い質す事の出来なかったそれを、悲しみを持たない私は平気で問い質す。


逆に悲しみを持つ里佳子は、いつもはまっすぐなその言葉を、瞳の色さえも濁すが、私に見つめられ、眉間に更に深く皺を刻み付けて話し始めた。


「携帯に例えると、ルイはピッチのスペックでスマホの働きをしてんだよ。その証拠に、昨日本体のスパコンに熱を帯びながら電源切れただろ?あんなん、スペックに見合わない能力発揮してりゃ当たり前だ」


機械は時間を追う事に進化している。現実に、私達は携帯電話を手に入れ、その携帯で写真を撮れるようになり、ネットを使えるようになって、今やその機能の搭載されたPCに近いスマホを持ち歩いている。


でも、ルイはどうなのかと考えれば、昨日の話を聞く限り、あの小さなロボットの中身そのまま、高性能な機器を足して構成されているのだろう。


「ましてや、アタシらのスマホですら二年も使えばそうなんのに、アイツは一体何年同じ本体のままか分かるか?」


原型の小さなロボットは、両親が離婚する際父が唯一私に贈ったもの。両親が離婚したのが私が小学校二年生の時。つまり、ルイは丸十年本体が変わっていない。