私のその言葉に、しくしくと世界から身を引いていた成が勢い良く顔を上げた。
涙に濡れた顔はいつものぐしゃぐしゃの顔で、状況は何も解決してはいないのに安堵する。
「そんな事、言うな。ルイがお前に返そうとしてる大事なものを、そんな風に言わないでよ。何かを失った時、辛い時、人は悲しいから、痛みを伴うから強くなれるんだよ」
どんなに幼い子供のような顔をしていても、成はやはり神様で。
私の腕を引いて強引に引き寄せた成は、その小さな頭を私の肩口に埋めて、くぐもった声で必死に言葉を紡ぐ。
「悲しいからこそ考える、今、悲しいからルイがどれだけ大切なのか分かる。悲しんで考えるから、次を受け入れる事が出来る。……俺は、痛くても辛くても、怒りを代わりに失っても悲しみだけは手放したくなかったしそこは変わらないんだ」
成は強い人なのだろう。全てを一挙に手放した私にはそれは毛頭理解出来ない考え方。でも、これだけは確信出来るのは、理解できない私が悪いという事。
取り戻したくない想いと、だけど全部を取り戻して成の考えとも向き合いたい想いがせめぎ合う。
胸の奥の空虚の、柔らかいところは変わらずちくちくとひっきりなしに攻撃を受け、ただ痛みを伴ったままだ。
涙に濡れた顔はいつものぐしゃぐしゃの顔で、状況は何も解決してはいないのに安堵する。
「そんな事、言うな。ルイがお前に返そうとしてる大事なものを、そんな風に言わないでよ。何かを失った時、辛い時、人は悲しいから、痛みを伴うから強くなれるんだよ」
どんなに幼い子供のような顔をしていても、成はやはり神様で。
私の腕を引いて強引に引き寄せた成は、その小さな頭を私の肩口に埋めて、くぐもった声で必死に言葉を紡ぐ。
「悲しいからこそ考える、今、悲しいからルイがどれだけ大切なのか分かる。悲しんで考えるから、次を受け入れる事が出来る。……俺は、痛くても辛くても、怒りを代わりに失っても悲しみだけは手放したくなかったしそこは変わらないんだ」
成は強い人なのだろう。全てを一挙に手放した私にはそれは毛頭理解出来ない考え方。でも、これだけは確信出来るのは、理解できない私が悪いという事。
取り戻したくない想いと、だけど全部を取り戻して成の考えとも向き合いたい想いがせめぎ合う。
胸の奥の空虚の、柔らかいところは変わらずちくちくとひっきりなしに攻撃を受け、ただ痛みを伴ったままだ。



