成は顔をゴシゴシ擦りながら物凄い勢いで元来た道を走って行く。
一瞬ラボの扉に目をやったが、晩御飯の声をかけられる程、私は出来てはいない。
そっと後を追いかけて一階のリビングへ到着すると、成がソファーで縮こまり、膝に頭を埋めてしくしくと泣き震えていた。
こんな風に泣く成を、私は初めて見た。いつもは可愛らしい、親しみやすい顔が真ん中にぐちゃぐちゃに寄った泣き顔が良く見えるからかもしれない。
本当に悲しくて、悲しくて悲しくて、世界から身を引いた成の姿を見て、感情の全てを取り戻すのが嫌になる。
大切な人と喜ぶ術、大切な人の為に怒る術、大切な人と未来を渇望する術、もう、それだけで充分な気がしてならない。
『喜怒哀楽』の『哀』はその感情が生まれるだけで痛みを伴い、辛くなるだけじゃないか。
「悲しみなんて要らない。悲しみを取り戻しても辛いだけなら要らない。求める事でルイを失うなら、成や、里佳子や燭まで悲しくなるなら私はこのままで……」
想いが、思わず口に出た。出さずにはいられなかった。人は、何の為にこんな不毛な感情を抱かなければならないの。
一瞬ラボの扉に目をやったが、晩御飯の声をかけられる程、私は出来てはいない。
そっと後を追いかけて一階のリビングへ到着すると、成がソファーで縮こまり、膝に頭を埋めてしくしくと泣き震えていた。
こんな風に泣く成を、私は初めて見た。いつもは可愛らしい、親しみやすい顔が真ん中にぐちゃぐちゃに寄った泣き顔が良く見えるからかもしれない。
本当に悲しくて、悲しくて悲しくて、世界から身を引いた成の姿を見て、感情の全てを取り戻すのが嫌になる。
大切な人と喜ぶ術、大切な人の為に怒る術、大切な人と未来を渇望する術、もう、それだけで充分な気がしてならない。
『喜怒哀楽』の『哀』はその感情が生まれるだけで痛みを伴い、辛くなるだけじゃないか。
「悲しみなんて要らない。悲しみを取り戻しても辛いだけなら要らない。求める事でルイを失うなら、成や、里佳子や燭まで悲しくなるなら私はこのままで……」
想いが、思わず口に出た。出さずにはいられなかった。人は、何の為にこんな不毛な感情を抱かなければならないの。



