【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜




球技大会のバレーボールの部は結局、女子は決勝戦で敗退、男子が優勝を収め、私達のクラスはドッチボールも優勝したようだ。


クラスメイト達で打ち上げをすると誘われたが、私と成はルイの事があるからと断り、里佳子と燭はそちらに顔を出すという事になった。


クラスの実質実権を握る成が行かない事に多くのクラスメイト達は残念がっていたが、成は親が忙しいからうちに居候しているという設定をクラスメイトに何でもないように説明し、上手くその場から抜け出した。


口が上手いのは相変わらず。もし私が感情を全て取り戻しても、怒りが欠けたままの成よりそういう事をすらすらと話す事は出来ないだろう。


「ルイが目を覚ましたらメッセ飛ばして。俺達も代わりに楽しい打ち上げの写メ送ってあげるから」


「うわー、燭様相変わらず『良い性格』ですよねー」


冗談を言い合う二人のおかげで不思議と感じた不安は完全に無くなり、自然と笑う事が出来るようになった。


「……目ぇ覚ましたらあのポンコツ、私の代わりに殴っといて」


「ふふ、分かりました」


ぶっきらぼうに言葉を放った里佳子は、私が笑うとかぁ、と顔を一気に赤くし、何も言わずにそっぽを向いてずんずんと歩き始める。


それに対し成はへらりと笑い、燭も同じ顔をすると軽く手を振って里佳子の隣へ並ぶ。