【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

「君の涙は、君のものだ。私のじゃないです。今は借りているだけ」


「……エミリ」


そっとルイの頬の宝物を頬から拭った。粒状のルイのそれは、私の指に少しだけ弾けて、空中を舞う。


空中で陽の光を懸命に浴びて地面へと落ちる様は一瞬なのに、やはりどうしても美しくて、不思議とスローモーションに映った。


ルイは頬に触れたままの私の手にそっと手を重ねて、口角を上げる。



「そうだね。ボクの涙は、ボクのものでもあるんだ。ボクたらしめる為のもの。……でもね、キミからも預かっているから、傍にいるからこそ預かれたこれを、ボクがボクでいられるうちにキミに返せたら良いのに」


「ルイが、ルイでいられるうち……?それは、一体どういう」


ルイの言葉が怖かった。こんなに傍にいるのにどうしてそんな事を言うのだろう。


聞かずにはいられなかった軽薄な唇に、元々繋いでいた方の手を解き、人差し指をあてがい黙らせるルイ。


「生きたい。キミと、皆とこの幸福を。でも、ボクはキミ達と心は同じでも身体が根本的に違うだろう?だから、一生同じようには生きれないんだよ」


ルイはヒューマノイドロボットだから歳を取らない。それに、彼には目的があって生まれている。おそらく、私の為に生まれ変わったルイは、その目的が果たされた後にどうなるのか分からない。