いつもの学校の帰り道。私とルイは二人でその道を緩やかな足取りで歩く。
成はこの時間なら母親がいないから、今のうちに必要な荷物をまた部屋から持ち出すと、一人であの家に行ってしまった。
「一人で行かせたのは果して正解だったのでしょうか?」
「大丈夫だよ。ナルは弱いけど、ちゃんと強いから。もしまた囚われたら、何度でも救い出すだけだ。ボクがいるんだから」
私の心配を他所に、ルイは猫が微睡んでいる時のように瞼で弧を描き出し、笑う。
「キミは変わったね。今の言葉もさっきの言葉も、変わらなかったら出なかった」
その優しい表情に拍車をかけるように鳴る、ルイの優しい音。
どうしてか、今日のルイに触れたくなった。悲しいわけじゃない。そもそも悲しみはまだ私には備わっていないけれど。
「ルイ。触れて良いですか?代わりに泣いてくれますか?」
「うん。良いよ。ボクの涙はキミのものだからいつでも」
その言い表せない気持ちを、ルイは分かってくれているのだろうか。いや、きっと伝わっていたって、彼にも上手く言い表せない。
そっとルイの小指に、ルイがいつも私にするように小指を絡めた。そうすると、ルイは小指だけじゃなくて、掌全体で私の手を包む。
大きな瞳からポロポロと、一つ、二つ宝物を落とすルイに、私は歩みを止めた。



