【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

他の球技もざわざわしながら決まりつつある教室内の一角、そこは狭い世界でも、幸福が溢れている。


不幸や、不満や、マイナスもすぐそこに溢れているけれど、同じくらい、小さな幸福はそこら中にあるのだ。


「お!笑里と里佳子もバレーボールか!」


「おう!折角だから男女優勝狙ってやってくぞコラ!」


私達に気付いた男子のバレーボールメンバーも集まり、狭かった空間が少しだけ拡張する。


盛り上がりを見せるその拡張した一角で、ルイがごく自然に私の隣に来た。


「どうしたのですか?……何だか、とても幸せそうな顔をしてます」


「キミも、ね」


窓の外から光が降り注ぐそこで、幸福な私達はまるで二人ぼっちの世界がそこにあるような、言い表せない気持ちで言葉を交わす。


幸福だから、ルイに触れられなかった。ルイが否応なく泣いてしまうから。


それを知っていると、こんなに傍にいるのに、ルイが世界の一番遠い所にいるように感じて、私にはまだ分からない名前の感情が、腹の奥で燻った。