【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

「はーいはいはい。朝ですよー。今日も出席者なーし」


窮屈なような、開放感で溢れているような小さな社会は、毎度気の抜けるだるそうな美樹の声で渦を成して整い始める。


あんな無気力な教師でも、実はちゃんと私達を見ている美樹。そうと分かっていても、あの気だるげな人が頭を下げて成を救おうとしたとは到底思えないし、誰も信じないだろう。


無気力な美樹の緩い進行によるショートホームルームは、そのまま一限目オリエンテーションへと間延びする。


「早く終わったら自習でー。先生眠い……じゃなくて、仕事山ほどあるから」


「いや、ミッキー完全に眠いって言ったから」


あまりの無気力さに全力で成が返し、教室内が笑いに溢れ、その温かさのまま体育委員が前に出た。


「えー、球技大会の種目は……」


書き出されて行くスポーツを見て、体育は特別得意ではない私はため息を零す。


何をやってもしんどいのには変わらないから何でも良い。


ただ、出来れば個人技の方が有難い。何せ、心が戻って来ていると言えど、この小さな社会では私は浮いた存在というイメージが先行しているから。