【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

私の決意を聞いて、最初に眩しく微笑んだのは里佳子だった。


「それじゃまるで一人で行くみてぇな言い方だな!アタシらも着いてくし!」


「だね。出来るだけお金をかけないように俺ん家の別荘を使おう。冬休み中は無理かもだから、三月の頭に確か開校記念日と土日で三連休があるところがあったから事情を父親に説明して……」


「うわぁ、金持ちの味方がいて良かったね」


里佳子の言う通り、一人で行こうと思っていたのにそれを言う前に成や燭もさもついて行くのが当たり前のように話を始める。


呆気に取られていると、隣にいたルイがくすくすと囀るように笑い始めた。


「こういう人達だっていうのはもう分かってる事なのに、エミリは驚き過ぎ。それにキミ、ボクの事も置いて行くつもりだったね?」


良く笑うようになったのも、人に歩み寄るようになったのも、ルイが心を手に入れた印で、こんな状況でも嬉しいと思う。


「ねぇエミリ、キミ、二人が来る前にナルに言おうと決めた事があったでしょ?この状況、少し先に大事な予定を全員で決めたからこそ、今それを提案するのが得策だと思うよ?」


「え……ルイ、何故、それを?」


確かに、成と二人で話した後に彼を守る為に言おうと思っていた事があった。だが、それは誰にもまだ言っていなかったのに。