【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

「……ごめんなさい。まだ肝心な部分が思い出せません」


「いや、俺こそ急に事実を押し付けてごめん。思い出すのはそのうちでも良い。無理しないでくれ。……話、続けても平気かな?」


優しげな中にも決意の篭った燭の言葉に私も強く頷けば、燭は目線を一つの記事に落とした。


「少女はその後取り調べに対しても、母を殺めた事実しか口にしなかったという。精神的に追いやられた結果だろうと記載されているね。その後は日本の有名な精神科医の病院へと入院して、少女の心と身体の状態を考えても正当防衛と判断されたようだ」


外側から見れた真実は、成との出会いも夢の事も全部肯定していた。


自らの中にこの真実を落とし込む為には、私自身が思い出すことが肝心だ。その為には……


「皆さん、聞いて下さい。私……もう一度あの場所へ行こうと思います。私の終わりであり、始まりのあの場所へ」


孤独のままだったら、こんな事考えもしなかっただろう。


前を見て生きる為に。全てを思い出す為に。傍にいてくれる人、いてくれた人の為に。そして自分自身の為に、どうすべきか考えたい。